当財団が全国各地で展開しているコンサートシリーズ「ときめくひととき」は、年を重ねるごとに充実度を増していると思います。財団が派遣する演奏家の顔ぶれが、すごい!僕も地方での仕事が多いので、あちこちでこのコンサートのポスターを見かけますが、そのままそこに居残って聴きたい気持ちになること、しばしばです。事業のもう一本の柱、「文化の国際交流活動に対する助成」も、見事な成果を上げてきています。地に足のついた民間の活動こそが、文化の真の底辺を形成することは言うを俟たないからです。さらに、高校生による優秀な演劇や郷土芸能等の、選ばれ招致されての東京公演への助成も、すばらしい。これらすべて、はでやかな花火の打ち上げではなく、日常に根ざした文化活動を地道に支えるものと言っていいでしょう。文化というものを考えるとき、これは極めて本質的なポリシーであると確信します。
設立30年を迎えた当財団……以上のような正鵠を射るコンセプトを発想し、実現させた設立当初の役員・理事のかたがたに、深甚なる敬意を表します。その精神を継承し、持続し、いっそう発展させていくために、誠心誠意努めていきたいと、強く思っています。

公益財団法人 三井住友海上文化財団
理事 池辺 晋一郎

30周年誠におめでとうございます。
貴財団が積み重ねてこられた30年に、私は強い共感を覚えています。私自身の演奏活動もまた、30年を経たからです。

これまで私は、ピアノ・リサイタルで全国津々浦々まで伺わせていただきました。なかでも、特に貴財団の「地域住民のためのコンサート」では、普段なかなかクラシックのコンサートが開かれない小さな町へもまいりました。そんな小さな町でのコンサートで、お客様が「この町でこんなコンサートが聴けたなんて」と大変嬉しそうにおっしゃっていたことが非常に印象に残っています。
クラシック音楽は大きな都市で限られた愛好家が楽しむだけのものなのではありません。
日々の生活に根ざし、人の人生に寄り添って、生きる力や夢を与えてくれるものなのです。

日本の隅々まで、音楽を届けていく。人に夢と力を与える。
そんな三井住友海上文化財団のこれまでの活動に敬意を表しますと共に、これからの益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

地域住民のためのコンサート(「三井住友海上文化財団 ときめくひととき」公演)出演者
ピアニスト 仲道 郁代

 三井住友海上文化財団様とのお付き合いは、以前の職場リアスホール大船渡市民文化会館の時から、今年度の釜石市民ホールTETTOで3回目となります。
地域住民のためのコンサートを初めて行ったのは、平成22年5月「須川展也サクソフォンリサイタル」(会場:リアスホール ピアノ:加藤昌則さん)。平成20年11月の開館からひと段落付き、より市民に寄り添いながら中高生の音楽活動にもプラスになる、質の高いコンサートを行いたいと思っての事でした。公演前日の交流会の席で、大漁唄い込み唄ルーツの地元祝い唄「御祝(ごいわい)」を演奏することが決まり、市内から急遽取り寄せた福来旗で作った半纏を須川さんと加藤さんが纏い、休憩明けの客席から即興演奏(加藤さんは鍵盤ハーモニカ)でステージまで練り歩き、自然と合いの手が入り大盛り上がりしました。地域の心とアーティストの演奏が一体になった奇跡の瞬間でした。以降リアスホール自主事業へ出演アーティストの皆様には、たびたび「御祝」を取り上げていただき、いろんな「御祝」が生み出されていくことになります。
今後も三井住友海上文化財団様の様々な活動を通じて、様々な地域で奇跡が生み出されていく事を期待しております。

釜石市民ホールTETTO[指定管理者]釜石まちづくり株式会社
市民ホール事業部 係長 中村 仁彦

 公益財団法人三井住友海上文化財団が設立30年を迎えられましたことを、心からお喜び申し上げます。貴団体が、音楽・郷土芸能の分野において、永年に渡り、支援・育成する活動に貢献されていることに、深く敬意を表します。今般、日瑞国交樹立150周年記念事業に於いて、スウェーデン国内での山車文楽上演の招聘を受け、当初は保存会会員に長期間の休暇取得と多額の遠征費負担を強いるため、実施を危ぶむ声もありました。そのような時に、貴団体から「文化の国際交流活動に対する助成」認定が決まった事により、資金面の援助だけではなく、遠征事業に対する認知を受けた事に、保存会員一同、意を強くしました。4泊6日間の短い期間内で、国会議事堂を始め、欧州日本研究所、日本人補習学校及び、ストックホルム市桜祭り会場に於いて、5回の公演を実施しました。いずれの会場に於いても、日本の伝統文化に対する人気は高く、大勢の現地の方に山車文楽鑑賞やワークショップを体験頂きました。今回の海外公演体験により、伝統文化の保存継承の大切さを再認識しました。今後共、海外への日本文化の発信活動に対する支援助成事業を、お願い申し上げます。

知立山車文楽保存会
会長 加藤 敞三